コラム
【読むHealing】見たことの無い本をひらく
見たことの無い本をひらく
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本というものは文字を読むほかに
写真や絵を見るという役割を持ちます。
そして自分という人間と結びつき
立体化された世界を脳内で再現していきます。
「見たことのない」というのは
本の存在は知っているけれど
そのなかがどのように書かれているのか
そのような物事が掲載されているのか
分からないもののほうが多いのだろうと思います。
本という紙の媒体に関しては
日本だけではなく海外にも
数えきれないほど存在していますから
その数ほど「世界」というものが
存在しているのでしょう。
本になるまでに積み重ねられた知識や研究、
奇想天外な発想に妄想に空想、
そして製作の過程を考えれば
1つの本になるまで時間がかかっているものです。
またその知識に新しいものや追加されたことがあれば
更にまた本が出来上がって残っていくのですから
時代に消えていった本もあるでしょう。
限られた人の手にだけ渡った本もあるでしょう。
戦火のなか奇跡的に残った本もあるでしょう。
完結せず絶筆となった本もあるでしょう。
生まれることができなかった本もあるでしょう。
現在は電子書庫もあり
出版の定型の流れが変わってきている時代ですが
手元で重力を感じ
紙の手触りを感じ
めくる音を耳にし
その記憶とともに脳内で立体化され
記憶されていく。
その一連の世界が「本」そのものです。
身の回りで「本」を探したとき
本は重いし場所を取るし、と
ご自宅に本を置かないという選択もありますが
見たことの無い本を
読んだことの無い本を手にしたとき
興味のある分野であれば
わくわくするときもあれば
これってどういうものなんだろう?と
まったく知らない世界の本をひらくとき
何が書いてあって
どんな説明があって
どんな写真が載っていて
想像を超えた未来のように
知らない世界をのぞくことになるでしょう。
その想像をすることすら
分からないと判断した世界は
手に取らず読まなかった本の中の世界は
知らないままでいるわけです。
例えば思い出してください。
あなたが手に取った本との初めての出会いを。
読んだことの無い本を開いたときを。
見たことの無い本をひらいたときを。
思い出の本はありますか?
どんな出会いがありましたか?
どんな気持ちが残っていますか?
子供の頃に読んだ絵本との出会い。
誕生日の贈り物だったかもしれません。
誰かにかりたものだったかもしれません。
私は幼少期に不治の病と当時言われた病気にかかり
自由に遊ぶことのできない病室では
何度も何度もお気に入りの絵本を読んでいたからなのか
幼稚園にいってもずっと園の絵本を
しかもお気に入りだけをずっと読んでいた子でした。
それは小学校に行ってからも変わらず
お気にいりの本ばかりを読んでいました。
それでも
その本と初めてであったときは
「見たことの無い本」の存在でありました。
そこから今、大人になってからも
その入り口となったことや印象的なページを覚えています。
夜になったらお化けに連れていかれちゃうとか
大きな大きな卵で大きなフライパンでケーキを焼けちゃうとか
ホットケーキはプツプツができたらひっくり返すタイミングなのだとか
白いワンピースに映った星の夜空とか
こんな体験、
いま大人になったあなたには
同じような出会いはありますでしょうか。
読むかどうかはわからないけれど
「本をひらく」というのは
あたらしい世界に触れること。
そして自分の中のつぼみが花開くように
あたらしい光をひらくような儀式。
物語や写真の風景を通じて
昔からわたしたちは外部のことや
海外のことを知ったりしてきました。
写真が無い時代であれば
文献をみたり人の話を聴いて
見たことの無い世界を創造し
想いを馳せていたのだと思います。
その新鮮さに立ち返ることのできる時代
最近あなたには新しい風が舞い込んできましたか?
何か新鮮なことがありましたか?
自分がこれまでまったく興味がなかったことでも
「本」の表紙、表題、重さ、手触り、色など
なんでもいいので
ちょっとおもしろそうだなとか
自分とは全く関係のない世界だけれど
ちょっと興味を魅かれた本
ぜひ一冊手に取って
見たことの無い本をひらいてみてください。
「ひらく」という
はじまりのときに出会うことは
あなた自身が生きている世界が
ひらかれていくきっかけをつかむこと。
興味がある・ないということに気付くことも
それは「知る」という世界につながり
道がひらいていくのだと思います。
「ひらく」ことは
全ての物事が「ひらいて」いくことへ
響きつながっていくのですから。
コラムニスト
川村かなえ
クリスタルボウル演奏家/三昧琴演奏家/音響振動療法家/ボイスアーティスト
長年「音とからだとこころ」に携わってきた実践経験を元に、舞台人として演奏家として、クリスタルボウル及び三昧琴演奏・ボイスパフォーマンスの活動を行っています。また、28年以上に渡る活動を通じ「トーンカウンセリング」というパフォーマンスメソッドを土台にボイスプラクティス、メンタルカウンセリング、サウンドセラピー、ワークショップやパフォーマンスコンサルテーションなどを国内外のクライアントを中心に行いながら、人生を豊かに過ごすための身心の取り扱い方を伝えています。
パフォーマンス(ボーカル/クリスタルボウル/三昧琴)通算数は1000ステージを超え、クライアントセッション数は2021年現在、延べ12000人以上。セッションのクライアントは日本国の他、アメリカ・イタリア・フランス・カナダなど。
川村かなえの身体から繰り広げられパフォーマンスは時を忘れさせるほどの深い慈愛の響きをあらゆる身心にもたらし、世界は「命の音」「水の音」「地球の音」「空(くう)の音」と称賛されています。また、これまでの多彩な経験の中で授かってきた多様な視点やインスピレーションを、セッションやワークショップを通して手渡す在り方は現実的かつ唯一無二の癒しを得ると多くの声を受けています。